南国フィジーで、のんびり退職生活

南太平洋のフィジー共和国で、のんびりと退職後の生活を送っています。フィジーの現地の色々な情報を発信します。

フィジーの歴史「特殊な土地事情」

英国領フィジーの初代総督ゴードン卿が、着任当時、フィジーの耕作可能な土地が、ほとんど欧州系の白人入植者たちに詐欺や略奪に近い方法で買い占められていた現状から、1880年に、フィジー人の土地の権利を確立するための条例「National Land Ordinance」を制定しました。


この条例は、その後フィジーに年季契約労働者として入植し、契約が終了してもそのままフィジーに定住し、現在ではフィジーの経済を牽引してると言われるインド人も土地を保有する権利が認められていません。
さらに独立後の資本主義経済の中で先住フィジー人とそれ以外の人々との土地所有格差が顕著となり、軋轢の源ともなっていますが・・・


フィジーの土地は、次の3種類に分類されます。


ネイティブ・ランド( Native Land )」は、フィジー人の伝統的共同体組織である「マタンガリ( Mataqali ) 」によって所有されています。フィジー人以外の所有は認められていません。
1940年に発足した、「NLTB( National Land Trust Board )」が、地主と借地人の仲介を行い、借地料の決定も行っている。借地するのはインド人農民が多いが、ホテル用地、商業用地、工業用地などの場合もあります。
このネイティブ・ランドは、全土の83.2%を占めると言われてます。


(フィジー先住民の居住地は、大親族集団の「ヤブサ( Yavusa )、小親族集団の「マタンガリ( Mataqali )」 によって構成され、マタンガリが共同土地所有単位となっています。)


ナンディからラウトカ方向、ロモロモ付近の広大なサトウキビ畑と手前はサトウキビ列車の線路が見えます。
最初にインド人が入植した当時は、99年リースで、地主のフィジー人と契約しました。近年次々と99年のリース期間が終了して、地主との交渉が成立せずに再契約出来ずやむなく離農するインド系も増えていると聞いています。
さらに、今のリース期間は、30年と短縮されています。


刈り取る直前の、火入れが終わったサトウキビ畑。


サトウキビ列車の貨車、これに刈り取ったサトウキビが積まれます。


刈り取った後に、成長している新しいサトウキビの穂。


フリーホールド・ランド( Freehold Land )」は、植民地化以前に入植した主に欧州人によって購入された土地で、植民地政府の調査によってその合法性が認められた土地です。
このフリーホールド・ランドは、現在も売買が自由であり、その大半は欧州人やインド人によって所有されています。しかし、取引価格は非常に高額で、そのおよそ3分の1は、リースされているのが現状です。全土の、9.8%と言われています。


近年の中国人の、いわゆる土地の”爆買い”に危機感を持った政府により、外国人の場合、滞在許可保持者以外のフリーホールド・ランドの売買が禁止されました。


クラウン・ランド( Crown Land )」は、1875年の時点で、どの共同体にも属さなかったり、英国王室により購入されていた土地を言います。
これは現在、政府の所有となっていて、全土の7%と言われています。
この土地もリース可能ですが、農業的には適さない土地が多く、大部分は公共目的のために使用されています。



このフィジーにおける、フィジー人の土地に対する保護政策により、近年土地所有格差が生まれていると批判されていますが・・・
私の考えは、もし植民地時代の最初にフィジー人の土地が保護されなかったら、植民地時代にほぼすべての土地が欧州人を始め、あとから入植してきた富裕なインド人たちに買い占められて、大多数のフィジー人は故郷を追われ、浮浪民となり都市部に流れ込み、フィリピンのマニラ首都圏のような状況になっていたと思います。
そうなれば、もちろん現在の「南の楽園」的なリゾート化もなく、常時武器を携えた人々が食料などを求めて街中を練り歩く、アフリカの一部の国のような状況が現出していたとも思いますが・・・


とにかく、英国植民地政府により決定された、間接統治とフィジー人の土地の保護政策は、その後のフィジー人の発展を約束したのは紛れもない現実ですが、その後1879年より、同じ植民地政府により促進された、サトウキビ労働者としてインド人の入植が、現在の深刻な人種の確執を生みだすとは当時のフィジー人にとって誰も考えも及ばない事だったと思います。

















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